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ピコレーザー|効果・副作用・治療原理

 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

 

ピコレーザーとQスイッチYAGレーザーなどの従来のレーザーとの違いは何でしょうか?

主な違いは、レーザー1ショットの照射時間が短くなっていることです。
それにより、熱による副作用を最小限にしつつ、強いパワーでタトゥーなどの色素を壊すことができます。

ここでは、ピコレーザーの効果や副作用、治療原理について解説いたします。

レーザーについて

皮膚・形成外科領域では、多くのレーザーが使われています。

その電磁波の波長は、人間の目に見えるところから目に見えないところまでの範囲があります。

人間の目で見える範囲の波長の光は、波長が長いほど皮膚の深いところまで届きます。

レーザーの作用

生体にレーザーを照射すると以下のような作用があります。

  • 反射
  • 熱による作用
  • 散乱
  • 透過
  • 発光
  • 溶かす
  • 蒸発する
  • 物質を破壊する作用

熱による作用

皮膚・形成外科で使用されてきたレーザーのほとんどが、熱による作用のものです。

熱による作用とは、レーザーで生体に熱を加えた時に、熱の伝わりやすさによって生体の温度差が出てくる作用のことを指します。

レーザーのエネルギーが生体に吸収されると、熱が発生します。

ナノ秒よりも照射時間が長いと、熱作用が強くなります。

照射時間を短くすることで、非常に大きなエネルギーを放出するレーザーでは、生体が熱で膨張し、衝撃波が発生します。

衝撃波によってメラニン色素を破壊できます。

熱の温度について

組織の温度

組織の温度が42度以下では、その構造は変化しません。

しかし、42度を超えると、組織の構造が崩れてきます。

さらに、65度を超えると、完全に変化して元には戻らなくなってしまいます。

生体の温度

生体の温度が60℃くらいまでは構造に変化はなく、60℃以上になると壊死に至る変化が見られます。   

特に、水分が蒸発すると、生体は最終的に壊死に至ります。

メラニン色素について

シミやタトゥーを薄くしたり、吸収されやすくするためには、色素を細かく壊す必要があります。

メラニン色素を含んだ細胞だけを壊すためには、レーザー1ショットの照射時間を短くする必要があります。

そうすることで熱の発生が減り、衝撃波によるメラニン色素を壊す作用が強くなります。

Qスイッチレーザーの開発により、太田母斑などの皮膚の深いところにあるアザの治療も行われるようになりました。

2012年に、Qスイッチレーザーよりさらに照射時間が短いピコレーザーが開発され、タトゥー治療などにも使用されています。

レーザーの原理

レーザーを照射するためには、まず外部からの光を吸収し、電子を基底状態より状態にすることで、高いエネルギー状態にある電子の密度を高める必要があります。

そのような状態にすることで、外部からの光が入ってくることにより、レーザーを繰り返し照射することができます。

熱緩和時間

物質には、それぞれ特有の「熱緩和時間」というものがあります。

熱緩和時間とは、ある物質が熱せられた時、最高温度に達してからその温度が50%に下がってくるまでの時間を指します。

これは、その物質の熱緩和時間が短いと冷めやすく、熱緩和時間が長いと冷めにくいことを意味します。

タトゥーのインクの熱緩和時間は、ピコ秒単位であり、非常に短いです。(つまり、タトゥーのインクは、熱が冷めやすい物質であることを意味します。)

そのため、タトゥーをナノ秒発振レーザーで治療しても、効果が不十分なことが多いです。

一方、ピコレーザーでは、衝撃波を起こすことにより、メラニン色素を細かく壊す作用があります。

さらに、熱によって起こる作用を抑えられるため、傷跡ができるリスクも少なくなります。

自然放出

エネルギー状態が変化するときに、エネルギー差と同じ強さの光を出します。

外からの特別な原因はなく、低いエネルギーに変化するときに出すエネルギーを自然放出といいます。

誘導放出

外部から原子に光が入ってきた場合、入ってきた光と同じ光を出します。

入ってきた時には1つだった光が、出ていく際には、入射光と同じ向きにエネルギーが2倍になるように増幅されています。

これを誘導放出といいます。

Qスイッチレーザーについて

太田母斑やタトゥー治療には、Qスイッチレーザーがこれまで用いられてきました。

Qスイッチという用語は、照射時間ではなく、レーザーを出す方法を意味します。

正常な組織のダメージを最小限に抑えながら、メラニン色素だけを選択的に破壊するためには、適切な波長と出力が必要です。

レーザーの出力方法

レーザーの出力方法には、一定の出力を連続して出す連続発振と、断続的に出すパルス発振の2つの方法があります。

パルス発振とは

パルス発振は、通常のパルス発振とQスイッチ法(レーザー1ショットの照射時間がパルス発振より短い短パルス発振)に分けられます。

また、高いエネルギー状態にある電子の密度を増やし、一気にレーザーを出すことで、非常に大きなエネルギーのレーザー光を出すことができます。

これをQスイッチパルス発振と言います。

現在臨床で使用されているピコレーザーの機器

現在、より照射時間(パルス幅)が短い機種が開発されています。

また、波長も様々なものがあります。

サイノシュアー社のピコシュア

ピコレーザーの中で最も早く使用された機械です。

・波長:532755nm

・パルス幅:550600650700750ps

・フラクショナルレーザーの使用ができる。

キュテラ社のエンライトン

厚生労働省に認められた機械です。

・波長:5321064nm(未承認 670nm

・パルス幅:750ps/2ns

・照射径:28

・フラクショナルレーザーの使用ができる。

シネロン・キャンデラ社のピコウェイ

・波長:5327851064nm

・照射時間が他の器械よりも短い。

・フラクショナルレーザーの使用ができる。

ピコレーザーの対象疾患

タトゥー治療

以前は、タトゥーの治療はQスイッチレーザーで行われていました。
しかし、Qスイッチレーザーでは、効果が低いことから、他の治療との併用や治療に多くの回数が必要とされています。

なぜなら、タトゥーのインクはメラニン色素を含んだ細胞よりも小さいからです。

2015年、それまで治療が難しかった「黄色のタトゥー」をピコレーザーで効果的に治療できることが発表されました。

治療期間

タトゥー治療の間隔は、前回の照射から4週間以上を空けて行います。

治療期間を短くしたい場合は、4週間隔で行うことをおすすめします。

治療回数を少なくしたい場合は、23か月間隔で施術を行います。

その方が、タトゥーの色素が薄くなるので、回数を減らすことができます。

しかし、その分治療の期間が延びます。

ライフイベントなどの理由で、タトゥーを治療する期間をほとんど取れない場合は、レーザー治療は避けることをおすすめします。

照射方法

始めに、タトゥーの紫色、赤色や黄色、オレンジ色の色素に照射を行い、その後、他の色の波長を選択して照射を行います。

黒色の色素への照射は、常に最後に行います。

 

ある研究によると、各色のタトゥー除去には、波長がパルス持続時間よりも影響が大きいことが示されています。
パルス持続時間に関係なく、532 nm のレーザーは赤、オレンジ、黄色のタトゥーの除去に最も効果的で、緑と黒の色素の除去にはやや効果的でした。
全体的な効果と安全性は、 532 nm のピコレーザーの方が優れていました。
黒いタトゥーの除去では、1064 nm ピコレーザーが最も効果的でした。

参考文献:
PLoS One. 2018; 13(9): e0203370.

副作用

副作用は、以下のものがあります。

①色素沈着

こすれやすい場所や日焼けしやすい部位は、色素沈着が起こる可能性が高くなります。

②白抜け

色が濃い場合は、熱でダメージを受けたり、何度も治療を行うことで、白抜けを起こすリスクが高くなります。

そのため、高すぎる出力や短い期間での頻回の治療はおすすめしません。

③瘢痕

タトゥーは、瘢痕と色が入り混じっている状態です。
タトゥーの色を取り除くと、隠れていた瘢痕がはっきりしてくることがあります。
そのため、完全に正常な皮膚の状態に戻ることは少ないです。

瘢痕があるかどうかは、指で触って盛り上がりを確認すればわかります。
また、凹凸以外に、皮膚の色に異常が出る危険性も高くなります。

瘢痕の凹凸はフラクショナル照射で治療できます。
フラクショナル治療は、皮膚の凹凸に効果があります。

④黒色化

黒色化のリスクが上がる要因として、白、肌色、茶色、ピンク色への照射や皮膚に鉄やチタンが高い濃度で含まれていることが挙げられます。

1064nmの波長のピコレーザーを繰り返し照射することで、黒色化した皮膚を改善できる可能性があります。

シミ・扁平母斑等

炎症後の色素沈着が起こる頻度は、炭酸ガスレーザー、ナノ秒レーザー、ロングパルスレーザーの順で高いです。

ナノ秒レーザー

炎症後色素沈着が起こる頻度は、1番使われているナノ秒レーザーで2540%ほどです。

ナノ秒レーザーを高い出力で薄いシミに照射すると、施術後に赤みが長引き、炎症後色素沈着を引き起こすことがあります。

それにより、患者様の満足度が下がることがあります。

ピコレーザー

一方、熱の作用が少なく、最大の出力が高いため、最小限のエネルギーで治療ができるようになったのが、ピコレーザーです。

それにより、炎症後色素沈着のリスクが減ることが考えられます。 

扁平母斑にも、効果が期待できます。

それと同時に、再発することもあります。

副作用

表在性のシミに対し、ピコレーザーやナノレーザーを照射した直後に起こる副作用として、赤み、水ぶくれ、内出血、かさぶたがあります。

それらの副作用は、通常710日で改善していきます。

その後の合併症として、長引く赤みや炎症後色素沈着、白抜けが起こることがあります。

その他に瘢痕形成のリスクもありますが、通常の設定であれば起きません。

副作用は、以下のものがあります。

  • 色素沈着

こすれやすい場所や日焼けしやすい部位は、レーザー照射後に色素沈着が起こる可能性が高くなります。

特に、ナノレーザーの照射で起こりやすく、47%に色素沈着を認めました。

光治療と比較をしても、ナノレーザーの方が色素沈着を起こす頻度が高かったと報告があります。

ピコレーザーの照射で炎症後色素沈着が起こる頻度は、10%以下です。

13人のシミを対象にレーザーを照射し、色素沈着が起こる頻度を比較したところ、炎症後色素沈着が起こった人は、ピコレーザーでは7.1%、ナノレーザーでは3.6%でした。

  • 白抜け

通常、皮膚に白抜けが起こるのは一時的なもので、12か月で改善していきます。

副作用予防のポイント

照射直後に、レーザーを当てた部位がやや白色になる出力が望ましいです。

低い出力で薄いシミを治療した場合、効果が見られなかったり、レーザーが刺激になり、シミが濃くなることがあります。

一方、高い出力で治療した場合、効果は高くなりますが、施術後に赤みが出やすくなります。

特に、薄いシミが気になられる方は、赤みや色素沈着が出たときに受け入れられない場合が多いです。

レーザー照射後は、上皮化するまで治療部位を保護して、刺激を避けます。

かさぶたは、1~2週間後の診察まではがさないようにします。

赤みに対し、美白治療を行うことで、逆に赤みが悪化する場合もあります。

効果と副作用、合併症の面から、薄いシミの治療には、ピコレーザーをおすすめします。

真皮メラノーシス(太田母斑・ADM

ピコレーザーは、熱による作用が少ないため、ナノ秒レーザーと比べると炎症性色素沈着のリスクを減らすことができます。

さらに、治療の回数が少なく済むため、皮膚の白抜けが起こるリスクも低くなります。

副作用

・副作用は、以下のものがあります。

①色素沈着

こすれやすい場所や日焼けしやすい部位は、色素沈着が起こる可能性が高くなります。

②白抜け

通常、皮膚の白抜けが起こるのは一時的なものです。

しかし、ナノ秒レーザーを何度も照射している場合は、その危険が増します。

ざ瘡瘢痕・毛穴の開大・美容的治療

フラクショナル治療を行うと、衝撃波により、皮膚内部に空洞ができます。

にきび跡・毛穴の開きなどの美容的な部分に対し、その衝撃波を利用して治療ができます。

フラクショナルレーザー施術前の説明として、照射時には痛みがあることや、照射後は当日から1週間ほど赤みが出ることを説明する必要があります。

ある研究では、スポットサイズ 6mm、0.71J/cm2、パルス持続時間 750ピコ秒、1 回の治療あたり平均 3,072 パルスで、4 ~ 8 週間間隔で 6 回の治療が行われました。
その後、被験者は最終治療セッションの 3 か月後に評価されました。
その結果、3 か月で平均 27% 瘢痕が減少が明らかになりました。

ヒアルロン酸注入との併用は可能?

ヒアルロン酸注入とピコレーザーは併用しても問題ないことが分かっています。

参考文献

Lasers Surg Med. 2021 Jan;53(1):9-49.

Facial Plast Surg Clin North Am. 2020 Feb;28(1):87-100.

PEPARS NO.147: 1-5. 2019

イチからはじめる美容医療機器の理論と実践 改訂第2版.全日本病院出版会.2021

ピコ秒レーザー最新治療ハンドブック―しみ・瘢痕・刺青をここまで治す.医学と看護社.2018