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  • よくあるご質問

【よくあるご質問】ボトックスが全身に作用してしまうこと(全身の筋力低下など)はありえますか?

ボトックスで起こりうる、まれな副作用のひとつに全身の筋力低下があります。

ボトックスの添付文書によると、美容領域ではこれまで報告はありませんが、全身の筋力低下がおこった例として、国内で以下が報告されています。

 

脱力(感)31例(0.29%)・・・痙性斜頸を対象(10645症例中)

脱力(感)3例(2.83%)・・・脳卒中後の上肢痙縮患者を対象(総症例106例中)

筋力低下3例(0.30%)・・・上肢痙縮及び下肢痙縮を対象(995症例中)

下肢の脱力5例(2%)、全身の脱力4例(2%)・・・尖足を有する小児脳性麻痺患者における下肢痙縮を対象(215例中)

 

なお、眼瞼痙攣や原発性腋窩多汗症患者を対象とした国内臨床試験において、全身の筋力低下の報告はありませんでした。

 

 

ボトックスの添付文書では、過量投与についての注意書きがあり、その項目に以下の通りの記載があります。

 

1.投与部位及び周辺部位に過剰な薬理反応である脱力、筋肉麻痺等の局所性の副作用があらわれることがある。

症状や兆候は投与直後にあらわれないこともある。

また、外国において、投与筋以外の遠隔筋に対する影響が疑われる眼瞼下垂、構音障害、嚥下障害、呼吸困難、筋無力症等が報告されている。

このような症状があらわれた場合は、観察を十分に行い、必要に応じて入院を考慮し適切な処置を行うこと。

また、呼吸器症状においては、人工呼吸等の支持療法も考慮すること。

 

2.投与直後の場合には抗毒素の投与を検討してもよいが、治療上の有益性と危険性を慎重に判断すること。

なお、既にボツリヌス中毒症状(全身性の脱力及び筋肉麻痺など)が発現した時点での抗毒素投与は、無効である。

 

 

また、美容領域で使用されるボトックスビスタの添付文書では、以下のような記載があります。

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

1.  筋弛緩剤及び筋弛緩作用を有する薬剤を投与中の患者[筋弛緩作用が増強されることが、また、嚥下障害の発現が高まるおそれがある。](「相互作用」の項参照)

 

2. 慢性の呼吸器障害のある患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。]

 

3. 重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者[本剤の投与により、症状を悪化させる可能性がある。]

 

重要な基本的注意

 

本剤投与後、3~4ヵ月の間に呼吸困難、脱力感等の体調の変化があらわれた場合には、直ちに医師に申し出る。

 

過量投与

 

ボツリヌス毒素の投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用があらわれることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱等に伴う死亡例も報告されている。神経学的障害のある患者(嚥下困難等を有する患者、痙縮患者等)では、この副作用のリスクが増加するため特に注意すること。

 

本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

 

 

全身の筋力低下について、国内ではあまり詳細な報告はありませんが、海外の文献にはいくつかあり、以下のような記載があります。

 

・機能的な回復は、神経の再生がおこることにより、横紋筋(骨格筋など)は2~3ヶ月かかるが、平滑筋(内臓筋など)はさらに時間がかかる。

・重症筋無力症患者やアミノグリコシドの内服がある場合は注意が必要。(これらがなくても起こり得る)

・風邪症状、嘔気、全身倦怠感、疼痛などの症状もおこることがある。

・副作用を予見することは困難。

・合計投与量が多いと全身の筋力低下が起こる確率が上がる。(毛細血管から取り込まれ、全身に運ばれる量が増えるため)

・投与頻度が高いほどリスクが増える。

 

なお、海外においてディスポート(ボツリヌス毒素製剤の一つ)投与後に全身の筋力低下が生じた症例9例を見ると、100単位~1000単位(平均594単位)の量が投与され、回復まで4~16週間(平均8.7週間)かかっています。

これらの9症例の投与量と回復までの期間をグラフにすると以下の通りです。

使用量と筋力回復までの期間には、弱い相関関係があります。(相関係数=0.24)

ただし、ボトックス1単位はディスポート3~5単位と等しいと言われており、上記の単位数はボトックスでは少ない単位数に換算されるので注意が必要です。

 

 

なお、美容医療の領域ではこのような全身の筋力低下の副作用の報告例がこれまで見られないのは、用いられる単位数が上下肢の痙縮治療などと比較して少ないためと考えられます。

ただし、美容医療において、エラやワキなど、比較的使用する単位が多い部位では、全身の筋力低下が症状が軽いものも含めて起こる可能性があると考えられます。

 

 

参考文献:

ボトックス注用50単位/ ボトックス注用100単位の添付文書. 2016年9月改訂. 第19版

ボトックスビスタ注用50単位の添付文書.  2016年5月改訂. 第7版

JR Soc Med 1993; 86: 493-494.

Clin Neuropharmacol. 2010 ; 33(5): 243–247.

Spinal Cord (2002) 40, 599-600