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トレチノインの副作用|避けるためのポイント9つを専門医が解説

トレチノインの副作用
 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

トレチノインは、シミ・くすみや小ジワ、ニキビなどに効果がある治療薬としてよく知られています。

しかし、トレチノインを使った後に皮がむけたり、皮膚の赤みやヒリヒリとした痛みなどの副作用が見られる場合があります。

ある程度の副作用は、トレチノインの効果が出ていると判断して許容することもありますが、間違った使い方をしていると副作用が強く出て、かえって皮膚に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。

今回は、トレチノインの副作用と副作用を避けるためのポイントについて解説いたします。

トレチノインの主な副作用5

皮膚の炎症症状が起こる

トレチノインを塗ってから数日後に、皮膚の炎症症状が起こることがあります。

具体的には、皮膚がポロポロとむけたり、皮膚の赤みや乾燥、ヒリヒリとした痛みが起きます。

皮膚の炎症症状はトレチノイン使用後によく起こる副作用であり、薬の効果が出ていると判断し、ある程度であれば許容します。

皮膚の炎症症状が起きない時には、治療効果が弱いと判断して、薬の濃度を濃くしたり、使用回数を増やす場合もあります。

ただし、炎症症状がどうしてもつらい時には、無理せずに休み休み継続しても問題ありません。

皮膚の炎症症状を少なくするために、薄い濃度から開始し、徐々に濃くしていくという方法もあります。

皮膚の炎症症状は、通常は1週間から数週間程度で収まりますが、心配な時にはすぐに医師に相談するとよいでしょう。

炎症後色素沈着が起こる

トレチノインによる皮膚の赤みやピリピリとした痛みなどの炎症症状は、よく起こる副作用です。

しかし、炎症の程度が強すぎると、皮膚に色素沈着が起きてしまうことがあります。

皮膚の赤みや痛みが強い場合には、濃度を下げたり、使用回数を減らすことを検討します。

炎症症状が強いと判断したら、一時的に中止した方がよい場合もあるので医師に相談すると安心です。

日焼けしやすくなる

トレチノインの治療中は、皮膚がいつもより敏感なので、日焼けしやすい状態になっています。

トレチノインの治療中に、海やアウトドアスポーツなどで強い紫外線を浴びると、日焼けによって皮膚が黒くなってしまう場合があるので要注意です。

日傘や帽子、サングラス、日焼け止めなどの紫外線対策を行うようにしましょう。

紫外線の特徴とUVケアについて>>

シミが再発することがある

シミに対してトレチノインとハイドロキノンを併用して治療する場合に、治療効果を得るためには、ある程度の皮膚の炎症症状が出ると理解しておきましょう。

日光によるシミは、皮膚の深いところまでシミの原因となる色素が存在することがあるので、治療効果を出すためには強い反応を起こす必要があります。

強い反応を起こすと、皮膚の赤みや痛みも強く出ます。

一方で、薬を弱めに効かせると、シミが再発しやすい傾向があります。

多少、シミの原因となる色素が皮膚に残ってもよいので、シミが目立たなくなるように治療したい場合には、あえて弱めの治療を選ぶという方法もあります。

皮膚の炎症症状と治療効果のバランスが重要になるので、医師に相談した方が安心です。

効果が落ちることがある

トレチノインを継続して使用すると、皮膚の炎症症状である赤みや痛み、皮むけなどの副作用は落ち着いてきます。

しかし、副作用が落ち着いてくる一方で、治療効果も徐々に落ちてきます。

トレチノインの効果を高めるためには、23か月使ったら1か月休むというようにするとよいです。

トレチノインによる副作用の実例

市販のハイドロキノンとトレチノインクリームを使用して4日後に赤みと皮むけが起こった例です。

トレチノインの副作用による赤みと皮むけの例

 

トレチノインの塗り薬による副作用を避けるためのポイント9つ

使用上の注意を守る

どの薬においても言えることですが、決められた使用方法、使用量を守らないと、副作用が起こりやすくなります。

また、トレチノイン製剤には、さまざまな種類があり、製剤ごとに使用方法が多少違います。

早く効果を得るために多く塗ったりすると、副作用が強く出て、かえって皮膚に悪影響が出ることがあります。

使用上の注意をよく守るようにしましょう。

医師の診察を受ける

トレチノインを使用する前には、医師の診察を受けた方が安心です。

まず、気になっている皮膚の症状に対して、トレチノインを使用することによって効果を期待できるかどうか判断する必要があります。

例えば、一言でシミといっても、さまざまな種類があります。

シミのなかには、トレチノイン単独では治療効果を得るのが難しく、レーザー治療などを併用した方がよい場合もあります。

トレチノインの治療中は、副作用である皮膚の炎症症状と治療効果のバランスを見極めて、最適な薬の濃度と使用回数を決める必要があります。
そのため、定期的に医師の診察を受けて調整をした方が、高い治療効果を期待できます。

また、トレチノイン治療中に皮膚の赤みや痛みが強く出たり、炎症が長引いている場合には、症状を悪化させないためにも医師の診察を受けた方が安心です。

トレチノイン製剤の中には、最初からハイドロキノンという美白剤を配合しているものもあります。
その場合、トレチノインによる副作用ではなく、ハイドロキノンに対するアレルギー反応が起こる方もいます。
トレチノインによる皮膚の炎症症状か、ハイドロキノンが原因のアレルギー反応か判断が難しい場合もあります。
もし心配なことがあればすぐに処方されたクリニックに相談するようにしましょう。

部分的に試し塗りをする

トレチノインを使うと皮膚の赤みや痛み、皮むけなどが起こることが多いので、まずは顔全体に塗らずに部分的に試し塗りをすることをお勧めします。

ただし、皮膚が慣れてしまうことを避けるために、試し塗りは12週間程度の短い期間にした方がよいといわれています。

また、顔の中でも目や口の周り、小鼻周辺は荒れやすいので、もし荒れるようであれば避けて塗るとよいかもしれません。

トレチノインを塗る時には、洗顔後にタオルでやさしく拭いた後、2030分待ってから塗るようにした方が、副作用のリスクが下がるといわれています。

副作用が少ないレチノールを使う

トレチノインによる皮膚の炎症症状が強くて気になる場合には、医薬部外品であるレチノール製品を使用するという方法もあります。

ただし、レチノールは副作用が少ないものの、効果も出づらいと考えられています。

皮膚に刺激を与えない

トレチノイン治療中は、皮膚がいつもより敏感になっているので、日焼けや皮膚の摩擦、化粧品の成分などには気を付ける必要があります。

例えば、トレチノインで治療中に皮膚をこすってしまうと皮膚の黒ずみや肌荒れ、乾燥の原因になることがあります。

特に頬骨があるような固い部分は、皮膚をこすることによる炎症が起きやすい場所なので注意が必要です。

洗顔、クレンジング、メイク、タオルで顔を拭く時などに、皮膚をこすらないように気を付けましょう。

また、化粧水や乳液などの基礎化粧品はアルコールが入っていないような皮膚に刺激の少ないものを使用した方が、皮膚の炎症症状を引き起こすリスクが低くなります。

風や寒さ、乾燥なども皮膚への刺激になります。

乾燥を防ぐために、丁寧な保湿を心がけましょう。

個人輸入品は使用しない

日本では現時点で、トレチノインは医師の処方がない限り手に入れることができません。

しかし、海外ではトレチノインを販売している国もあるので、個人輸入品を買うことは可能です。

ただし、海外の製品は日本人向けでないことが多く、成分がきちんとしたものであるという保障もありません。

厚生労働省も、医薬品などを海外から購入する場合には、期待する効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれていることがあると注意喚起しています。

個人輸入品を使用すると思わぬ副作用が起こるリスクもあるので、使用しないようしましょう。

副作用が出づらい製品を選ぶ

トレチノインには、トレチノイン単独の製品やハイドロキノンを配合してあるものなど、さまざまな製品があります。

なかには、皮膚の赤みや痛みが強く出るような製品もあります。

皮膚の赤みや痛みなどの炎症症状が強く出るということは、短期間での治療効果も期待できるのですが、日本では炎症症状が出づらい製品のものが好まれます。

例えばメラフェードは、副作用が出づらく、濃度の調整もしやすいトレチノイン製剤として知られています。

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併用する薬に注意する

トレチノインを使用する時には、併用する薬に注意する必要があります。

トレチノインと似たような作用をもつアダパレンやグリコール酸、レチノールなどを併用すると、皮膚の赤みや乾燥がひどくなるなどの副作用が強く出るリスクがあります。

もし、トレチノインと似たような作用をもつ薬を併用しているのであれば、中止後2週間以上経ってからトレチノインを使うことをお勧めいたします。

妊娠中または妊娠の可能性がある場合には使用しない

トレチノインを皮膚に塗ることによって、血液中のトレチノイン濃度が上がることはないとされています。
しかし、万が一を考えて、妊娠中または妊娠の可能性がある場合には念のため使用しないことをお勧めいたします。

 

トレチノインの飲み薬の副作用

トレチノインの内服薬

シミや小ジワの治療薬として使われるトレチノインは塗り薬ですが、実はトレチノインには飲むタイプの薬、いわゆる内服薬もあります。

トレチノインの内服薬としては、急性骨髄球性白血病に使われる「ベノサイド」などがあります。

トレチノインの内服薬は、厚生労働省によって劇薬に指定されている医薬品であり、美容目的で使用されることはありません。

トレチノインの内服薬の副作用

トレチノインの内服薬による副作用には、レチノイン酸症候群、白血球増多症、血栓症、血管炎、感染症、錯乱などがあります。

レチノイン酸症候群の症状としては、発熱や呼吸困難、低血圧、肝不全、腎不全などがあります。

まとめ

トレチノインの塗り薬は、シミや小ジワ、ニキビなどに対して効果を認められています。

しかし、正しく使用しないと皮膚の赤みや痛みだけでなく、炎症による皮膚の黒ずみや肌荒れ、乾燥などの副作用が起こるので注意が必要です。

副作用を避けるためには、使用上の注意をよく守り、医師の診察を適宜受けるとよいです。

トレチノインの治療中は、皮膚がいつもより敏感になっているので、日焼けや皮膚の摩擦、化粧品の成分などにも気をつけるようにしましょう。

トレチノインの塗り薬は、正しく使えば、高い効果を期待できる治療薬です。

副作用を避けるためのポイントを押さえて、きれいな皮膚を目指しましょう。

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