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  • 顔のシワ・たるみ

エランセ | 効果・腫れ・副作用・コラーゲンブースト作用

 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

エランセ(ELLANSE)注入をご検討されていますか?

ここでは、エランセの目の下や頬・額への効果額、腫れ、副作用、経過、コラーゲンブースト作用などについて解説いたします。

ぜひ参考にしてみて下さい。

エランセとは?

欧州CEマークと米国FDAを取得している注入剤です。

耐久性と即効性を兼ね備えています。

主成分

PCL(ポリカプロラクトン)・・・1930年代初頭に合成された生体適合性があるポリマーです。
エランセの30%を占める成分です。

70年以上にわたって生物医学の分野で安全に使用されています。

溶ける糸などに活用されている成分で、これを細かい球状にしています。
ヒアルロン酸のように架橋処理されていないため、粘弾性が高くなく、さらっとしてます。

CMCL(カルボキシメチルセルロース)・・・セルロース・水・グリセリンを成分とする基材で、レディエッセにも使用されている物質です。
エランセの70%を構成します。
これは最初の1か月で吸収されてなくなります。

特徴

2段階のプロセスで起こる加水分解(水と反応して吸収される)によって、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。

吸収される過程で炎症が生じ、コラーゲンが増えるのが特徴です。(詳細は後述)

製品の種類

以下の4種類あります。
吸収されるまでの期間が異なります。(粘弾性は各種同じ)

  • S・・・1年
  • M・・・2年
  • L・・・3年
  • E・・・4年

 

エランセの効果は?

ヒアルロン酸と同様に、凹んだ部分のボリュームを出したり、シワり・たるみに働きかけます。
その他、肌の若返り・肌質を改善する効果があります。

エランセ 効果が期待できない場合とは?

くぼみが深い場合はボリュームを出しづらいことがあります。

エランセのコラーゲンブースト作用とは?

注入後、エランセ自体はなくなりますが、エランセの粒子が周囲の組織に炎症を起こし、それをきっかけにコラーゲンが新たに作られます。

III型コラーゲンが早期に出現し、I型コラーゲンにやがて置き換わります。

エランセによるコラーゲン生成作用

エランセを注入した際の生体反応によって、注入部位周辺のコラーゲン形成が促され、肌のハリや弾力がアップします。

どれくらいコラーゲンが増えるか?

こめかみにエランセMを注入してから13か月後に生検を行った研究で、ヒトで初めてコラーゲン産生が確認されました。

また、13名のこめかみの真皮深層にエランセを水光注射で注入した研究では、1年後に皮膚の厚みが約26.7%増えたという結果が出ています。

同研究では、エランセの粒子の周りに新しく作られたコラーゲンや弾性線維が確認されています。
経時的に生検を行った結果、2週間では新生コラーゲンはごく少量作られていたのみに対して、1年後および4年には多く見られていました。
組織所見を裏付けるように、3例の皮膚の厚みを経時的に生検により測定した結果、以下のように徐々に厚みが増え続けています。

  • 2週間後:+2.03%
  • 1年後:+34.0%
  • 2年後:+48.7%

コラーゲンブーストの注意点として、上記データは2年後までフォローアップされており、どんどんコラーゲンが増え続けている結果が出ています。
2年後の時点でも組織検査でエランセの粒子がわずかに残っており、コラーゲンの増えすぎによりかえってたるみが悪化するリスクが懸念されます。
ちなみに、同報告ではしこりが発生した例はなかったとのことです。

コラーゲンが増えすぎると、皮膚の重量の増加により困ったことが起こり得ます。
例えばこめかみであれば、下流にあるゴルゴ線やマリオネットラインの悪化が起こる可能性があります。

当院のグロースファクターには、コラーゲンの増え方に関して他の部位に悪影響を及ぼさないようなノウハウがあります。

コラーゲンブースト効果が期待できる場合とできない場合の違いとは?

エランセによるコラーゲンブースト効果は真皮内に注入する必要があります。

通常、エランセはボリュームを出す目的で皮下に注入されることが多いですが、その方法ではあまり皮膚のコラーゲンは増えません。
つまり、肌のキメや小ジワはあまり改善しません。

そのため、コラーゲンブーストを起こすためには、水光注射などでしこり(後述)にならないように正確に真皮内に注入する必要があります。

エランセの経過・持続期間は?

持続期間は種類により異なります。

吸収されるまでの期間は9か月~3年半と種類により異なります。

持続期間はタイプにより1年から4年まであります。

ただし、真皮内に注入され、4年経っても粒子が残っていたことが生検により確認された例の報告があります。

ほうれい線治療の経過

エランセによるほうれい線治療を40例に行ったある報告では、12か月後と24か月後の患者満足率はそれぞれ平均90%と75%でした。

エランセの副作用・デメリットは?

製造元が実施した市販後調査(2009年~2016年12月まで)では、合併症の発生率は0.049%(2055シリンジあたり1回)でした。

また、1111例のエランセ注入例における副作用の発生頻度を調べたある報告では、以下の結果が出ています。

  • 2週間以上続いた腫れ:50例(4.5%)
  • 内出血:30例(2.7%)
  • 頬の腫れ:8例(0.72%)
  • しこり:5例(0.45%)
  • 変色:2例(0.18%)

なお、同報告で血管内注射、肉芽腫、感染の症例はありませんでした。

起こり得るエランセの副作用・合併症

赤み

エランセは炎症を起こす性質があります。
そのため、ヒアルロン酸と比べて赤みが出やすいです。
特に浅く注入されると目立つので注意が必要です。

腫れ

注入後2~3日ほど腫れた感じになり、むくみが1~2週間程度出る場合があります。

腫れが長引く例は、 カニューレによって深部脂肪層に注入される量が多い場合に起こりやすくなります。

また、上記同文献において、顔の広範囲に5mlのエランセを注入し、2か月後には問題なかったものの、10か月後から腫れが起こり、ステロイド注入を1か月ごとに行ったという例が報告されています。

内出血

内出血は1週間程度出ることがあります。
出かたには個人差があります。

また、先端の丸いカニューラ(鈍針)を使用することで、内出血のリスクが下がります。

痛み

ヒアルロン酸に比べると、注射剤自体の痛みがあります。

アレルギー

まれにアレルギー症状が出る場合があります。

しこり(結節)

同じ箇所にエランセを大量に注入した場合に起こります。
0.023%の割合で起こったという報告があり、いずれの例も技術的なミスによるものです。

その他、真皮に通常の注射器で注入されるとしこりが起こります。

まぶたなどの皮膚が薄い場所に注入すると表面から見えるしこりが発生しやすくなります。

ゆっくりと注入することもしこりの発生を避けるのに重要です。

しこりは炎症を伴わず、硬く、注射部位に限局しているのが特徴です。

しこり・結節は一般には自然になくなることが多いですが、なくなるまで2~4年以上かかることもあります。

早期のしこりは、マッサージにより対処しますが、それでもなくならない場合はステロイドの局所注射の適応になります。

肉芽腫形成

炎症性のしこり(肉芽腫)は、エランセの非常にまれな副作用・合併症です。(発生率0.002%)
肉芽腫は、慢性の炎症反応です。
注射後半年から2年後に発生します。

原因は注射液または施術操作における細菌汚染が原因です。

治療法はステロイドなどがありますが、数か月単位の長期の治療期間が必要になります。

皮膚壊死・失明

血管内に誤注入された場合にごくまれに起こり得ます。
これは、エランセがジェル状の半固体だからです。

こちらはヒアルロン酸(同じく半固体)でも起こり得る副作用です。(ヒアルロン酸のリスク・副作用について>>

注入時に痛みや皮膚の変色が起こった場合、それらは皮膚壊死や失明の初期症状であることがあります。
その場合は、直ちに治療を中止し治療を行う必要があります。

特に失明に関しては、1時間以内の治療が必要です。

黄色腫様反応

エランセが浅く注入された場合や筋層内に注入された場合に平均1年後に起こる晩期合併症です。

原因は不明で、治療法もありません。

 

副作用・合併症を避けるための過ごし方の注意点

顔を清潔に保つことが重要です。
メイク、サウナ、飲酒は最初の24時間は避けることをお勧めいたします。

エランセのデメリット

しばらくは元に戻せない

注入後に凹凸など仕上がりに何か問題があった場合、ヒアルロン酸であれば、溶解注射により溶かすことができますが、エランセの場合は溶解剤がないため、自然に吸収されるのを年単位で待つしかありません。

 

エランセの額への注射の注意点は?

凹凸を避けるために、注射を骨膜上に行うことと注入直後にマッサージして均一にすることが重要です。

また、額はジェル状の注入剤で失明・皮膚壊死が比較的起こりやすい部位なので、注意が必要です。

当院に寄せられたエランセ治療後のトラブル例

当院ではエランセによる治療は行っていません。

しかし、時々、エランセ治療後にトラブルが生じた方から、他院修正を求めてお問い合わせメールをいただくことがあります。

あいにくのところ、エランセはヒアルロン酸溶解注射のような溶かす方法がありません。
そのため、当院においてエランセ後のトラブルを依頼されても、手の施しようがないのが現状です。

ここでは、当院に寄せられたエランセ治療後のトラブル例をプライバシーに配慮した形でご紹介いたします。

お問い合わせ例(額のエランセ後の上まぶたの腫れ)

額にエランセ4mlを注入後、2日経ってから、上まぶたに腫れが生じました。

治療を受けた医師からは、「エランセは流れることはない。時間とともに元に戻る。」と説明を受けました。

しかし、1か月経っても良くならず、顔つきが変わっています。
まぶたの腫れのために、目の上の皮膚がつまめないくらい腫れており、まぶたに重みを感じています。

まぶたの腫れがこのままになるのではないかといかと不安で仕方ありません。

解説

上述の副作用の「腫れ」の項目に「腫れが長引く例は、 カニューレによって深部脂肪層に注入される量が多い場合に起こりやすくなります。」とあります。

その他、ある報告によると、顔の広範囲に5mlのエランセを注入したところ、10か月後から腫れが起こった例があります。
つまり、腫れは直後から起こるとは限らないということです。

なお、額は、ヒアルロン酸注入などにおいて、皮膚壊死・失明のリスクが他の部位と比較すると比較的起こりやすい部位だと言われているので注意が必要です。(参考: ヒアルロン酸注射の失明のリスク・副作用について>>

エランセの目の下への注射の注意点は?

目の下など皮膚の薄い部位では、腫れが数日〜1週間残ります。

また、しこりができやすいので、基本的にはエランセの目の下への注入は向いていないと言えます。

 

エランセの頬への注射の注意点は?

頬は骨近くまで深く注入すれば安全なことが多いです。

また、頬の中央にある眼窩下神経を傷つけないように気を付ける必要があります。

注入量は片側1.0mlを超えないようにし、0.05〜0.1mlずつ注入していき、一気に大量に入れないようにします。

 

料金・相場は?

通常の注射方法の場合、エランセ1mlあたり 8万円~10万円くらいが相場です。

ヒアルロン酸との違いは?

ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分です。

ヒアルロン酸は、架橋(硬さを調整する技術)の種類が様々あり、さらさらした種類やボリュームを出すのに適した硬めのものが幅広くあります。

また、ヒアルロン酸は、万が一失敗した場合、ヒアルロニダーゼで溶かすことができます。

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